大島祐哉は張本智和に対して何をしたのか(前編)
「決勝進出をかけた張本智和と大島祐哉の対決」と聞いたとき、多くの卓球ファンは「バックハンドとフォアハンドの対決」という構図が頭の中に浮かんだことでしょう。そして、その大半が張本選手の決勝進出を疑わなかったはずです。実績に加えて「現代卓球はバックハンド」というイメージが強いからです。
そんな中で、セットオールの激戦を制したのは大島選手だったことに日本中が驚きました。
その“金星”をどのように大島選手がもぎ取ったのかを、紐解いていきたいと思います。
前編は大きく3つのポイントにまとめ、後編に1セットごとの細かい説明をつけております。
① フォアを狙う(フォアを使わせる)戦術
② チキータを封じる
その“金星”をどのように大島選手がもぎ取ったのかを、紐解いていきたいと思います。
前編は大きく3つのポイントにまとめ、後編に1セットごとの細かい説明をつけております。
こちらの文章をケータイ(もしくは印刷)で見ながら、映像で確認していただけると、より分かりやすくなると思います。
大島選手は今回の全日本で、良くも悪くも勢いが試合のキーとなる張本選手に対し、勢いを止めることに重きをおいた「“vs張本“戦術」を採用していた印象でした。
ポイントとなるのは以下の3点です。
大島選手は今回の全日本で、良くも悪くも勢いが試合のキーとなる張本選手に対し、勢いを止めることに重きをおいた「“vs張本“戦術」を採用していた印象でした。
ポイントとなるのは以下の3点です。
① フォアを狙う(フォアを使わせる)戦術
② チキータを封じる
③ 勝負所のロングサーブ
① フォアを狙う
2018年の世界選手権代表選考会と比べ、張本選手がバックハンドを振る機会が減り、逆にフォアで不十分にドライブさせられての展開が増えました。
ミドルへのチキータに加え、2バウンド目をフォアサイドから出すストップ、フォアへのフリックなどを大島選手が新たに採用していたためです。
現段階で張本選手がフォア側から打つフォアハンドの強烈なボールは、ほぼすべてクロスです。かなり時間があるケースを除いてストレートにはありません。
一方で、大島選手のフォアハンドは威力と安定感で世界トップレベル。
「思い切りドライブされたとしても、なんとかフォアクロスに持ち込めばチャンスが十分にある。少なくともバッククロスよりは大いに。」という判断だったのだと思います。
② チキータを封じる
フォア前のサーブが過去に比べてフォアに厳しく入っていました。
完璧にチキータを封じることはできないものの、フォア側への厳しいサーブをチキータするためには大きくフォア側へと動かなければなりません。
完璧にチキータを封じることはできないものの、フォア側への厳しいサーブをチキータするためには大きくフォア側へと動かなければなりません。
早い段階でフォアへ動けばバックサイドにスキができ、スキを作らないためにギリギリまで待って大きく動けばチキータの精度が悪くなります。
今大会で張本選手は緒方選手(早稲田大)にも負けそうになりましたが、彼も同じくフォア前への厳しいサーブをメインに戦っていました。
フォア前とバックロングという対角線を狙う、見本のようなサーブの組み立てでした。
フォア前とバックロングという対角線を狙う、見本のようなサーブの組み立てでした。
③ 勝負所の連続ロングサーブ
この試合で最も印象的だったのは、連続で繰り出されるロングサーブでした。
7セット目の9-9から、ネットイン(再サーブ)となったものも含めれば3連続でバックへの順横(右回転)ロングだっただけではありません。
7セット目の9-9から、ネットイン(再サーブ)となったものも含めれば3連続でバックへの順横(右回転)ロングだっただけではありません。
勝負の分かれ目となった4セット目、4-8ビハインド(張本リード)からの7点連取では、大島選手は4本のうち4本ともバックサイドへのYG(左回転)ロングサーブから得点しています。
あのレベルの選手同士で、ロングサーブがここまで連続で出されることは稀です。バックサイドに回り込まれ、フォアハンドで打ち込まれれば失点してしまう可能性が高いからです。
Tリーグで同じチームに所属している大島選手は張本選手の試合を間近に見ることが多くなっています。
展開から考えて「このケース、張本はチキータで来るだろう」という予測があった共に、「最悪のケースを考えても(メンタル・スキルなど、総合的に考えれば)回り込まれた方が、チキータで狙われるよりも良い」と考えたのでしょう。
以上が、簡単にまとめた解説となります。
以上が、簡単にまとめた解説となります。
後編では、セットごとに展開を紐解き、上記3つについて詳しく説明していきたいと思います。
織部隆宏