ラポーム 2021年6月

スポーツの価値

私にとって卓球というスポーツは、かけがえのないものです。

競技時代から今日に至るまで素晴らしい人々に出会い、素晴らしい時を過ごしてきました。

尊敬、敬意、友情、賞賛、激励、反省、向上、努力、集中、選択、幸福、満足、自信、工夫など数え上げればきりがないほど多くのことを卓球を通して学んできました。
楽しいことばかりではありません。
競技者は敗戦と失敗の連続です。
不平や不満、落胆、無作法、喧嘩(暴力ではない)、言い争いなども数え切れません。
思い出せば今でも泣きたくなるようなことはたくさんあります。
しかし、それらのすべてをバネにして今を生きています。

スポーツは人を鍛え、人を癒し、人と人を繋ぎます。人間性を育む土壌です。

人類にとってスポーツの価値というのは、計り知れないほど大きいものがあると思います。
スポーツこそ人類最古の文化かもしれません。

現在では、あるいは将来も不可能なことかもしれませんが、スポーツの価値というものを、歴史的にそして総合的に説明できるようになったら、競技スポーツ最高峰のオリンピック・パラリンピックの価値も、経済価値云々だけでなく、さらに高い評価を受けると思います。

1964年の東京オリンピックが日本だけでなく世界に残した精神的、物質的レガシー(文化的、経済的レガシー)を現在でも私たちは享受しています。

今2020東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に控え、その開催の是非についての論争が激しさを増していることは避けられないことだと感じます。
それだけ新型コロナ感染問題が深刻だということです。
国の開催方針に対して、多くの国民が反対しています。

代表選手にもその矛先が向かっていますが、代表選手たちはそれを受け止め、今こそ自分が行っているスポーツとは何か、競技生活とは何かを考える責任があると思います。
オリンピック・パラリンピック代表選手ともなれば大きな恩恵もありますが、それに匹敵する責任があるからです。

新型コロナ感染収束のことだけを考えれば「中止」とするのが第一の選択肢として挙がるのは当然のことだと思います。

しかし「科学的な安全基準」をクリアできるのであれば、現在行われている豊かな人間性に寄与するべくスポーツ以外のあらゆる文化活動や経済活動、社会活動の継続と同じように、2020東京オリンピック・パラリンピックが行われることは合理的という見方もできると思います。

「科学的な安全基準」で最も重要なものは参加選手および役員はもちろん、関係者全員のワクチン接種義務だと私は思います。
そしてその責任感こそは、大切なレガシーとして将来の人類に遺るものだと信じます。
ITS三鷹 代表 織部幸治

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