【世界の卓球が見える】中国を倒した遊澤亮の神業を誰でもわかる解説付きで見てみよう!

【世界の卓球が見える】中国を倒した遊澤亮の神業を誰でもわかる解説付きで見てみよう!


皆さんこんにちは。ITS三鷹の織部です。

今回の動画では、元日本代表・遊澤亮のプレー動画を通じて、普通なら全国レベルのプレーヤーしかわからないような卓球の世界を、普段卓球をしていない方々にもわかりやすく解説します。

この動画を最後まで見ることで、プレーヤーの皆さんはもちろん、一般の皆さんが世界の卓球を目にした際、見えるものが変わるはずです。




最初の打球から約4秒で、ミスショットまでに6打球。
これが卓球のスピード感です。
そして、目立った強打をしていないので、何がすごいのか分かりづらいですね。

でも大丈夫。
ここからはスローモーションや、アニメーションを使って誰にでもわかるように解説します。

ラリーの詳しい説明に入る前に、プレーヤーとしての特徴を解説します。


遊澤亮は台に近い領域でプレーし、ラリーの序盤に一気に形勢を決めていく「前陣速攻型」と呼ばれるスタイルです。


回転のかかりやすい平坦な面の裏ソフト。


そして初速の速さやスリップによる変化をつけやすい粒が表に出た表ソフト。
この2種類を高速反転させながら速攻をかける、世界でも遊澤にしかできない速攻技術を持っています。

また、ラリー序盤で形勢が不利になった場合の守備技術・ブロックも世界最高峰で、日本代表としてオリンピック2回・世界選手権に6回出場しました。

世界選手権・アジア大会でのメダル獲得に加え、学生リーグ32勝無敗中国人選手2名を含む世界チャンピオン4名の撃破など、特別な活躍を見せました。



まず遊澤は横回転をかけたサーブをフォアのネット際へ、低い軌道で出していきます。


レシーバーから遠ざかる回転のサーブを手の届きにくいエリアに出すことで、相手の強打を防ぐ作戦です。


これに対し笠井は遊澤のバックハンド側に2バウンド目を少しだけ台から出すハーフロングで返球をします。

何気ない場面ですが、フォア側に面を開くことでフォアを意識させるテクニックを使っています。

そのため、遊澤は一旦フォアハンドのための姿勢をとった後バックハンドの体制に切り替えています。


遊澤は打球点を落としたところから、低くサイドを切って返球します。


どうでしょう、コレがすごい技だと見てわかりますか?

通常、逆をつかれた場合には、返球することを優先するあまり甘い手になってしまいます。


具体的には、ネットを回避できるような高いボールが、多少落ちる場所がぶれてもミスにならない卓球台の中央付近に落ちやすくなります。


高いボールであるほど直線的に狙える的が大きくなってしまいますし、返球しやすい中央付近には相手が待ち構えています。


なので、遊澤は打球点を落としたところから、低く、コーナーよりも広くサイドを切って返球します

ちなみに、遊澤のバックハンド側に貼ってある表ソフトはスリップしやすく、打球点を落としてのプレーには不向きです。

一見普通に見えた打球ですが状況・用具の両面から見ても神業世界屈指のコントロールです。

想定以上に厳しいコースをつかれた笠井は飛びながら強打で応戦します。


球威はあるものの、広くコントロールされたことで、バックハンド側に大きくオープンスペースができています。

また、コーナーから台の中央寄りにバウンドしたのを遊澤は見逃さず、逆サイドに厳しくコントロールします。


また、よく見てみると少しだけスリップさせて横方向の回転を入れながら、より大きく曲がるようにゆっくり返球します。

あえてゆっくり返すことで、笠井の打球できるポイントが台の下になるよう絶妙なコントロールで落としていきます。


ポイントから見てみると台が邪魔で低くボールを返す角度がなくなります。

また、表ソフトの特性上、スリップしたボールには判断のしようがないほどの変化も生まれています。


ポジションが悪く変化が読めないため、安全に返球するには高いボールで台の中央に返すしかありませんが、その返球ではスマッシュで撃ち抜かれます。

高いボールを上げてもチャンスがないと判断した笠井は、バックスピンをかけるカット技術で低く返球を試みますが、この打球はミスになりました。


これが僕たち卓球のプロに見えている世界です。
ぜひもう一度、このラリーを通常速度で見てみてください。

どうでしょう?
解説の前と後で見え方は変わりましたか?

もしなにか感じたことがあれば、ぜひ教えてくださいね。


■解説:織部隆宏
■撮影場所:ITS三鷹卓球クラブ
■協力:笠井智衆

















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