「卓球のダブルスについて」ラポーム 2023年3月号 -東京の卓球スクール-

卓球のダブルスについて

日本の卓球にとって悲願のオリンピック初の金メダルは2020東京オリンピックの水谷隼選手と伊藤美誠選手が組んだ混合ダブルスによって獲得されました。
二人の美しいコンビネーションと技の冴えが時を超えていつまでも鮮やかに頭に蘇ってきます。

卓球のダブルスでは、競技者は必ず交互に打球します。片方の選手が何回でも続けて打てるテニスやバトミントンのダブルスと決定的に違う点です。

そのため卓球のダブルスではシングルスにはない3つの重要な移動があります。

まず自分が打球した直後、次に打つパートナーのために退く移動です。

何処へどのくらい移動すべきかは、フォアハンド、バックハンド、ツッツキ、ドライブ、ショート等々その時採用した打球や相手の位置などにより様々です。

打球後に移動の時間がなく、緊急のしゃがみ込みシーンなども稀に見ることがあります。

2番目に出てくる重要な移動は、パートナーが打球しているときに、待っているべき最適な場所への、最初に退いた場所からの移動です。自分の得意技術にもよりますが、多くはバック寄りの台の後方です。

そして3番目の重要な移動は、次の自分の打球のためにパートナーと入れ替わる、前後や左右への移動です。相手とパートナーの両方の意図を読まなければなりません。

これらの3つの重要な移動は連続して行われるので、また打球している選手に注目するので見落としがちですが、3つ移動のうちのどれか一つでも適切でなかった場合、コンビネーションが崩れてしまい、プレーの質が落ちます。ぶつかったりもします。

「卓球というのは100メートル競走をしながらブリッジをするみたいなものです。たいへんなアスレチックな能力と、そして同時進行形で、最高の知的能力を要求されるスポーツです。」

これは1988年ソウルオリンピックの卓球会場で荻村伊智朗さんがイギリスのアン王女に卓球競技について説明されたときの言葉で、今や多くの人が引用しています。
荻村伊智朗さんが100メートル競走とトランプのペアゲームであるブリッジ(コントラクトブリッジ)で卓球を説明されたのは、世界卓球選手権でダブルスの金メダルを合計5個も獲得された、その得意のダブルスをイメージして語られたのかもしれないと思いました。

真の協働である卓球のダブルスは心技体そして智を育てる素晴らしいそしてユニークな種目です。パートナーシップで目標を達成。あ!これはSDGsだ!

ITS三鷹 代表 織部幸治

投稿を共有