ラポーム 2020年10月

荻村流アスリートファースト

「アスリートのことを最優先に考えなければならない」という意味のアスリートファーストという言葉が最近はよく使われます。
しかし荻村伊智朗さんが私たちに教えてくれたものは、アスリート自身が考えるべき責任や使命感といった、別の意味のアスリートファーストでした。

猛練習と徹底した戦術研究で、荻村さんはアスリートとしてチャンピオンになりました。
コーチとしては一緒に選手生活をおくり、アスリートとしてのあるべき姿を見せることにより多くのチャンピオンを育てていきました。

日本卓球協会の役員としては、選手強化策や数々の卓球発展策を実践し、卓球というスポーツのステージを格段に上げました。

国際卓球連盟会長としては、限られた予算の中でより多くの国を訪問してアドバイスするために、移動はいつもエコノミークラスでした。最初の2年間に80カ国を訪れています。

その中で育んだそれらの国々の人々との友情や信頼関係は計り知れないものがあります。
荻村さん自身も持つべきものは友達だと書き残しておられます。

1991年世界幕張大会の南北統一コリアチーム実現はそのような中から生まれました。

荻村さんは率先してやってみせるという「荻村流アスリートファーストの精神」でこれらすべてを、私たちに見せてくれました。

ITS三鷹卓球クラブの創設も「卓球人荻村伊智朗」のアスリートファーストの精神から生まれた傑作だと思っています。
コロナ禍の今、スポーツの危機と言われていますが、何としてもコロナに負けないところをやってみせなければなりません。

9月19日のBSテレビ東京の番組「卓球ジャパン」で「荻村伊智朗特集」が放映されました。
荻村さんが実現した数々の偉業が改めて紹介された良い番組でした。
レギュラー出演の平野早矢香さんは「スポーツが平和に貢献できるというのは素晴らしいことですね」と涙を浮かべて語っていました。

韓国の英雄で元韓国卓球連盟専務理事の玄静和氏の「荻村さんの意思は私たちがしっかり受け継いでいきます」という力強い言葉はコリアの人々の共通した思いだと信じています。

ITS三鷹 代表 織部幸治

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