ラポーム 2021年9月
パラリンピック
8月8日にオリンピックは閉幕し、8月24日からはパラリンピックが開幕し、連日熱戦が繰り広げられています。
結末を誰も知らないノンフィクションドラマには格別の興奮と感動があります。
しかし今回の2020東京オリンピックは、いまだコロナ禍が深刻な状態に向かっていく兆候のなかで始まり、パラリンピックではさらに厳しい状況に直面したなかで行われています。
選手たちが発信するメッセージからは、自分の競技生活を支えてくれた人たちへの感謝だけでなく、大会を支えているすべての大会関係者、ボランティア、五輪スポンサーはもちろんのこと、コロナ感染拡大を防ぐために尽力してくれている医療従事者やその家族にまで感謝する気持ちが伝わってきます。
この悔しさを忘れないとか、何色のメダルがいいとかいうようなことは、この際はむしろ聞きたいメッセージではないことだと感じます。
2021年、東京は夏季大会として初めてオリンピック・パラリンピックを2回開催する栄誉を担う都市となりました。
海に囲まれ、長い間似た価値観や文化を人々が共有して生きてきた日本から、多様性を認め合う共生社会を提案することができるチャンスを再び与えられたことは、日本にとってもスポーツにとっても幸運だったと考えるべきだと思います。
今回パラリンピック参加選手は史上最多となり、連日あらゆるメディアに大きく取り上げられています。
パラリンピックの発するバリアフリーへのメッセージも史上最高となっていると思います。
振り返ってみると1964年の東京オリンピック・パラリンピックは、日本においてバリアフリーという考え方が広く意識されるきっかけになった大会だったと思います。
その意味では1964年東京オリンピック・パラリンピックは、人類が画期的な一歩を踏み出した瞬間だった言えると思います。
パラリンピックは「スポーツは人類普遍の価値である」ということを証明しているという点でも大きな貢献をしています。
オリンピック・パラリンピックの大テーマは共生社会を目指す平和運動です。
オリンピック・パラリンピックに参加するすべてのアスリートは、自身の行っている競技の発展に貢献することと同時に、オリンピック・パラリンピック平和運動を発展させる責任を担っています。
特に優勝者や入賞者は、その競技の代表者としての大きな責任があり、その思いを発信することが強く求められます。
私たちはそのような責任を果たせる選手を育てる努力を継続していきたいと思います。
ITS三鷹 代表 織部幸治