ラポーム 2018年9月号
7月29日(日)に放映されたNHKBS1「Why?強くなった?卓球ニッポン」は、間に10分間のニュースを挟み前編50分、後編50分という特別番組で、荻村伊智朗さんの数々の卓球への貢献や日本と世界の卓球競技の歩みをドラマ仕立てで検証するというユニークで見ごたえのある番組でした。
この番組の中で、水谷隼選手へのインタビューに私は大変興味を持ちました。
それは以下のようでした
傳谷英里香(記者役);「荻村さんをバイブルとしているとのことですが、荻村さんのどんなところに惹かれますか?」
水谷隼;「荻村さんの超自己中なところが好きです」
傳谷;「自己中?」
水谷;「常識から外れた事ばかりを荻村さんはするんですよね、平気で。周りの人も何だこの人は?と言われても自分の信じる道を進んでチャンピオンになるすごい人ですよ。」
「荻村さんに会ってみたかったですね。説教されたいですね。荻村さんに怒られたことを正せば強くなれそうな気がします。言ってほしいですね、自分は伸び悩んでいるんで。」
荻村さんは水谷選手に一体どんなアドバイスをするのでしょうか?
私は荻村さんが1958年のブラジル遠征で若干14歳のコスタに負けた時の日記を水谷選手に見せてあげたいと思いました。
「なぜ自分は負けるのだろうか、なぜ自分は絶対の強さを持てないのだろうか。それは自分が絶対のトレーニングをしていないから。そして絶対の精神力を持っていないからだ。自分の弱さはそれだけだ。俺は世の中の誰にも卓球では勝てるのだ。ただ必ず勝てないだけなのだ。必ず勝つようになってみよう。少なくとも努力できるだけしてみよう。いつかそんな日のあることを信じてみよう。
自分は相手があんなにも当たっているのにほほえみ俺も頑張ろうと思った。チャンスだったのだ。最高のゲームをつくる。俺があの時、精神の健康を保ち、技量の最高を発揮し得たら、見ていたみんなは卓球とは何て面白い競技だ!って叫んだに違いないのに。この次のチャンスこそ俺は逃がさないぞ。」
荻村伊智朗さんのほとばしる卓球への思いが水谷隼選手に受け継がれることを願っています。