ラポーム 2016年4月

ワルドナー現役引退

卓球の申し子J.Oワルドナーが今年2月の試合を最後に選手生活にピリオドを打ちました。

食卓よりやや大きい台の上で、掌より少しだけ大きなラケットで、掌の中に隠れてしまうような小さなボールを打つというだけなのに36年間にわたり世界中の人を魅了し続けたワルドナーの存在感に改めて驚いています。
そして心からの拍手と感謝の気持ちを贈りたいとワルドナーの引退を知って今しみじみと感じています。

1989年から2004年まで15年間にわたり全国各地(39都道府県)で行われた約120か所でのニッタク社主催のワルドナー講習会に関わらせていただけたことは私の大きな財産です。
たくさんの方と出会い、本当に多くのことを学ぶことが出来ました。
ITSには6度来てくれました。

1950年代に荻村伊智朗が表現した、驚異的なフットワークとフォアハンド攻撃を主体とした日本式近代オールラウンド卓球にワルドナーは中国が1960年代に表現した中国式前陣速攻と1970年代の欧州型パワードライブをプラスして、1980年代に両ハンドパワードライブ攻撃を使う現代オールラウンド卓球を生んだと思います。
ワルドナーは卓球のゲームを発展させた偉大な選手の一人と言えるでしょう。

卓球の発展の歴史を荻村以前・以後、中国以前・以後、ワルドナー以前・以後というくくりで考えられるのではないでしょうか。

講習会の時に彼が好んで使った言葉は「positive」「natural」「enjoy game」でした。

「positive」は心のことで「前向きに、より積極的に」、「natural」は技術のことで「自然に、自分らしく」というような意味だと思いますが、ワルドナーが意味しているその言葉のイメージを100%共有することは不可能です。次に会う時には、そのことをもっと深く聞いてみたいと思います。

ワルドナーの才能で「スタミナ」はあまり有名でありませんが、実はワルドナーの最大酸素摂取量は同時代のスウェーデンのスポーツマンNO.1という測定結果があります。そしてプレー中の酸素摂取量は群を抜いて低いことも計測されています。
すなわち、燃料タンクが大きく、しかもエコで動けるという体を持っていたわけです。

ワルドナーはenjoy gameで「スタミナ」を獲得したのでしょう。

ワルドナーが今後どのような活躍をするのか楽しみです。
ITS三鷹 代表 織部幸治

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