ラポーム 2019年5月

武蔵野のローレライ

ITSの名誉会員で、荻村伊智朗さんが卓球をはじめた都立西高選手時代から長きにわたって心の拠りどことしていた武蔵野卓球場の上原久枝さんが去る4月19日に永眠されました。99歳でした。
合掌


荻村伊智朗さんが武蔵野卓球場40周年に上原久枝さんに贈った詩には、そこで青春を過ごした若者たちの気持ちが綺麗に描かれています。


『武蔵野のローレライ』

天界からこの蒼い惑星のいちばんあたたかい緑なる点を探すと
武蔵野卓球場が見つかるかもしれない

四十年もたつと、上原おじさんがピカピカに磨いていた自転車も
どっかへいってしまったし、斎藤敏雄くんや内田がお尻をぶつけた
ぼくたち手塗りの濃縁の腰板も色がすこしあせたかもしれない

それなのになぜ若い人たちがつぎつぎと集まるのか
めじりの小じわもごましおもどんどん集まるのか
あのしなやかな膝に優しい檜の床板が抜けてしまうかもしれないのに

それはもちろんあの人のせいさ
だれもみたことがない若い頃のあの人に向かって語るのか
そこにいるチャーミングなおばさんに向かって語るのか

ふしぎな武蔵野のローレライ
あの人のいるところは武蔵野卓球場といいます
これからもそういいます
みなさんもセフィーロのせんでんのように「お元気ですかァ」とお寄りください
新しい夢がいっぱい語れます




『ピンポンさん』の著者、城島充氏が平成11年に雑誌Numberでナンバー・スポーツノンフィクション新人賞を受賞した「武蔵野のローレライ」には、上原久枝さんが見事に描かれています。
ITS三鷹Doステージカウンターにてお読みいただくことが出来ます。
       
ITS三鷹 代表 織部幸治

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