「荻村伊智朗51%理論」ラポーム 2023年9月号 -東京の卓球スクール-

荻村伊智朗51%理論

バンクーバーに住むカナダ人の友人はビジネスマンですが、彼は宮本武蔵の「五輪書」を愛読していると言うのを聞いて「五輪書」とはすごいもんだと思いました。

荻村さんが書かれた「中高校生指導講座IとII」(1963年12月20日に発行。卓球レポート編集部)は私にとっての「卓球の五輪書」だと思い毎日少しですが必ず読みます。読むたびに何か新しい発見があります。
 
有名な荻村さんの「51%理論」が「中高校生指導講座I」IV「練習の方法」の1.ワンサイド練習に詳しく書かれています。
 
クロスやストレートのみを使うワンサイド練習では、具体的にどのように練習をするべきかを考える土台として、自分が得点する打法について、3つの異なる51%型が次のように紹介されています。
 
徹底的な攻撃型(第一型)
つなぎボールは100%ミスしない。すべてのラリーを自分の決定球で終わらせる。自分の決定球の得点力(威力)は100%。であれば51%の命中率であれば100%勝つ。
 
徹底的な守備型(第二型)
つなぎボールは100%ミスしない。すべてのラリーを相手の決定球で終わらせる。相手の決定球の命中率を49%にさせることができれば100%勝つ。
 
中庸型(第三型)
決定打の機会を相手には49%与え、自分が51%とる。決定打の命中率は100%のコントロールを持ち、100%の得点力を持つ。
 
三つの例はそれぞれ実現不可能なほど極端であるかもしれないが、すべてのプレーヤーはこのいずれかに属する。
 
実際に第一型の藤井則和、中恒造、私(荻村伊智朗)、田中利明、第二型のバーグマン、ロゼアヌ、第三型のヴァニア、バルナ、シド、富田芳雄がしばしばこれらに近いプレーをした。どの打法を中心としたゲームでも最高のものは甲乙なく良い。
そしてどの方法を選ぼうと自分の自由であり、選んだ責任は自分が持たねばならない。』
 
このように、ワンサイドで打ち始めるときにでも、なんとなく打ち始めるのではなく、最初の1球目から自分が理想とする型の完成を目指して、台からの位置、球速や回転などの球質、フォームの大きさなどを考えて意図のある練習をすることが大切であると書かれています。
 
本の題名は「中高校生指導講座」ですが、かなり高度で、難しい表現が多いと感じます。
 
しかしそれを一生懸命考えて、想像して自分の卓球に生かしていけるような選手がチャンピオンになれるのではないかと思います。
 
荻村伊智朗さんの著書について今後もご紹介していきたいと思います。
ITS三鷹 代表 織部幸治 

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