ラポーム 2019年2月号

平成30年度全日本卓球選手権大会準決勝、決勝

昨年の全日本決勝で張本智和選手に敗れた水谷隼選手は、今年どのように張本選手に臨むのか是非見たいと思い、1月22日朝早い「のぞみ」に乗って大阪に全日本卓球を観に行きました。

大阪市中央体育館には、試合開始1時間前の9時頃到着しましたが、雨の中何百もの人が会場の外に並び、入場の順番を待っていました。

男子準決勝、張本智和選手のお株を奪うような大島祐哉選手の見事な連続カウンター攻撃は、私が期待した張本―水谷戦を無にしてしまいましたが、以前私はダブルスで活躍している大島選手に「君はダブルスと同じ心境でシングルスもプレー出来れば、シングルスでも世界を狙えると思うよ」とアドバイスしたことがあり、彼の大変身ともいえる驚きのプレーを大変うれしく思いました。
張本対大島、スピード対パワー、ゲームオール11-9という白熱の試合でした。
固くなってはいるものの張本選手の驚異的な粘りも印象的でした。

2年前全日本ジュニアを制した木造勇人選手も強豪を倒し準決勝に登場。王者水谷に挑戦し、特徴である速いプレーで善戦しました。いよいよ出てきたなという感じです。

決勝の水谷選手のプレーは、荻村伊智朗さんが言った「卓球は時間と空間の総合芸術」を表現した素晴らしいものでした。彼の集大成といえるゲームだと私は感じました。

女子の決勝に進出した木原美悠選手のプレーは、とても14歳のプレーではありません。完成されていると感じました。
フォアハンド、バックハンドのドライブとスマッシュを使い分け、サーブ、レシーブも個性的で、得意とするフォアハンド横回転サーブを伊藤美誠選手に強打され苦杯しましたが、逆にあのレシーブ強打を狙い撃つようなカウンター攻撃を身につけた時、世界が見えてくるのかなと思いました。大器だと思います。

Tリーグでぐんぐん力をつけてきた早田ひな選手との準決勝、さらに決勝の木原美悠戦と伊藤美誠選手のプレーは圧巻。9-9のような勝負のかかる、誰もがしびれるような局面で繰り出す大胆なプレーに場内は、どよめきの連続でした。

伊藤選手の場合、度胸とか勇気というものを心の底から絞り出すという感じではなく、体全体が持っている気質或いは誇りのようなものが彼女の創造的なプレーを生んでいるように思います。

伊藤選手は「楽しむ」という言葉をよく使いますが、私は伊藤美誠型を楽しんでいるのだと感じます。
すなわち一番大事な局面で、一番大胆な戦術技術を採用するというという彼女の独自の哲学を愉しんでいるのだと。
また、最初から最後まで、どんなスーパープレーの後でも一切声を出さない伊藤美誠選手の王者らしい態度は賞賛されるべきだし、私は拍手喝采を贈りたいと心から思いました。

ITS三鷹 代表 織部幸治

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